2024/05/24 Fri
文化 活動
モロッコサロン文化
サラム・アレイコム(こんにちは)
モロッコから 助産師のまーみん です。
“サロン” と聞くと多くの日本人はヘアサロンやネイル・エステサロンなど美容の場をイメージすることでしょう。
しかし、本来の起源はフランス語で 応接間 を意味し、邸宅の客間で催す社交的な集まりのことを サロン と呼びます。
ようこそ我が家へ
「ただいま」「おかえり」 日本語で好きな言葉です。
モロッコサロンは、日本の客間と居間が合わさったような文化であると感じます。
日本で生活をしていると無意識のうちに「ウチ」と「ソト」を区別してしまいがちであったと気がついたのは、モロッコサロンには家族・親族だけではなく、友人、同僚、ご近所の方、友達の友達…様々な人間模様が日常的に集うという様子を目にした時でした。
(想像してみてください。この空間に身を寄せ合いながら座るのですから、毎回つい何人いるのか数えたくなるでしょう笑)
ちょっと硬めのソファとたくさんのクッションが一室の外周に並び、何人集まっても全員の表情が見渡せる独特な空間でおしゃべりをして、ティータイムやお食事をして、時には歌って踊って、その一角のソファで横になって休むこともあります。
赴任した当初にご自宅へ招待していただくと気構えてしまっていましたが、大きな家族のひとりのように迎えてくれる素敵な空間、大抵の家庭で玄関を開けて一番手前にある モロッコサロン はすべての家庭に必須の素晴らしい憩いの場です。
集え麗しきマダム
現在の日本では、妊娠がわかり初期から受診すると出産予定日までの標準的な妊婦健診の回数は計14回です。
モロッコでは最低4回が推奨されており、今後は8回へと増やしていく動きがありますが、配属先が把握している県内の公立施設での妊婦健診の平均受診回数は2.3回という現状です。
(コロナ前と大きくは変わらない数値になってはいるものの…)
助産師隊員のミッションの一つとして、産前産後に参加してもらう 母親学級の再開普及と定着化 に従事しています。
出産設備を持つ保健センターには、母親学級を開催する一室が設けられている場合もあるのですが、この空間を初めて見た時にどこか モロッコサロン のスタイルを思わせました。
医療キャラバンで訪ねた小学校の教室でも コの字型 に教壇を囲う机配置を見かけ、一方向的な授業ではなく受講者がディスカッションしやすい形状は心地良く微笑ましかったです。
無償の公立医療機関ではなく私立病院やクリニックが出産に選ばれることも多くなってきていると聞きますが、同じ日時に妊婦さんが揃わない保健センターでは健診中の個別指導がメインになっています。
とは言え、トークが上手なモロッコ人が開催する母親学級はとても盛り上がり、参加者の発言も多く楽しい時間であることは確かです。
時代に逆行しているようにも感じますが、ここでの母親学級はうまく定着できたならば、井戸端会議のごとく気軽にマダム達が集い悩みや心配事を言い合える場になり、生活文化習慣に馴染む可能性を秘めているようにも思うのでした。
ビスラーマ ٩( ᐛ )و
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