JICA海外協力隊の世界日記

こちらモロッコですけどなにか?٩( ᐛ )و

青い、ファラシャ

サラム・アレイコム(こんにちは)

モロッコから 助産師のまーみん です。
あの日から長かったのか短かったのか…、モロッコ地震から一年が経ちました
時同じくして、日本の災害関連死の報道に衝撃を受けました。(ふと宗教と死生観について考えながら過去のデータをひとり分析した)

任地での生活・活動は日常が続いていますが、震災後からモロッコ国内を多く巡り、様々な景色を目にして、素敵な出会いもたくさんありました。
もう一年、されど一年、地震による被害が残る様子や復旧作業を目にすると、モロッコの復興もまだまだこれからであると感じるこの頃です。

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思いがけない宝物

アフリカ各国の隊員さんが現地でアフリカ布を買って衣装を仕立ててもらうとよく耳にしていましたが、モロッコでは伝統衣装も現地の方から贈っていただいたり、町中でもお手頃におしゃれなものが手にできたりします。

女性の衣装でいうと、
・刺繍や装飾が美しく結婚式や祝日などお祝い事に着る 「カフタン(caftan)」
 ツーピースでカフタンをさらに華やかなに着る タクシータ(takchita)」
・フード付きで日常的にも外出時に着る 「ジュラバ(djellaba)」
・自宅着や作業時に涼しく着られる 「ガンドゥーラ(gandoura)」
・一枚の布から作られゆったりと着られる 「ファラシャ(faracha)」

任期中に自分で仕立てることはしないかなと思っていたのですが、旅先で出会った女性が仕立てたばかりのファラシャを着ていて、両手を広げると蝶のように優雅な姿が美しく魅了されてしまいました。
ただ、布選びが大変なのだろうなぁと、素敵なモロッコ刺繍のお仕事をされている方に思わず「私には何色が似合うでしょうか」と聞くと、「これが好き!と自分が思う布を選べば良いの」と即座に答えが返ってきました。

ハッとしました。プロの見立てや周囲の意見、パーソナルカラー診断…他者の目ばかりになっていたことが気恥ずかしくなったと同時に、私自身が好きなものを着る というあたりまえのことが承認されたようで嬉しいと感じました。

その後しばらくしてお気に入りの柄と色の布を手に入れると、仕立ての相談をしていた同僚が糸屋さんに連れて行ってくれました。
胸元の編み飾り用にたくさんの色の中から私の布にあった糸を選び出すと、プレゼントに彼女が飾りを編んでくれることになりました。

一週間後、彼女が編んでくれた飾りの美しさに大興奮で、一緒に仕立て屋さんに向かう道中でどのお店に並ぶものよりも私にとっては一番であると確信しました。(ちなみに少しだけ編み始めを見せてもらい私も挑戦しましたが難易度が高すぎました笑)

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赤ちゃんの誕生

配属先でデスクを並べていた同僚が先月無事にご出産されました。
日本の お七夜お宮参り などの行事は親族で行うことがほとんどですが、赤ちゃん生誕のお祝いに招待してもらいました。

同僚だけでも10名以上が出席し、会場には カフタンタクシータ を美しく身にまとった70-80名以上と伝統音楽を演奏する女性たちが集いました。(全員女性のみ会場は圧巻!)
入り口ではウェルカムドリンクのように牛乳とデーツをいただき、実母さんが迎えてくださいました。
演奏に合わせて、ご親族・ご友人・同僚たち皆が主役を待ちながら踊ります。

そして、お揃いの色の伝統衣装を着た赤ちゃんを抱いて主役のママが登場すると大歓喜…♪

皆からの祝福を受ける母子の姿帝王切開でのご出産から1か月にも関わらず高いヒールを足下に綺麗な衣装を着て踊る彼女のパワフルさ に感動が隠し切れず…
それと同時に、日本で生きる女性にもこんなに幸せな時間を過ごしてほしい、そんな想いが込み上げてきました。

少し風に当たりにお庭へ出ると、招待された数名の男性たちはカジュアルな装いでテーブルを囲んでおり、おしゃれをした子どもたちは駆け回っていました。
微笑ましい様子を後にして会場に戻ると隣のお部屋で主役の赤ちゃんを実母さんがあやしており、改めてお祝いを伝えると抱かせてくださいました。(なんという幸せ…)

実母さんに変わり赤ちゃんと過ごしながら、大音量にも動じることなくすやすや眠る彼女の姿 を見て、この子も逞しく育つのだろうなぁと思いました。
また、長いパーティー時間なので、そのお部屋にはムスリムの日常のお祈りをするためにも変わるがわる参加者が訪れ、装飾品を外したり黒い衣装を羽織ったりしてからメッカの方角へお祈りを捧げていました。

結局、お食事時間以外の21時頃にパーティーが終わるまで、赤ちゃんを抱いて過ごし、授乳中の体調について同僚と話をして、久しぶりに産後の現場へ戻れた気分でした。(他のモロッコ隊員から赤ちゃんを見られるのは一瞬と聞いていたはずが笑)

助産師という仕事をしていると、生と死について考える瞬間がありますが、平和な世界で母子が笑顔で生きる 一助であり続けたいと改めて実感しました。

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