JICA海外協力隊の世界日記

SAKAMOTO, search fire!

動物紹介⑤ ~トゲウナギ~

こんにちは!

今回は配属先の排水溝で偶然見つけたお魚をご紹介します。

 

とある昼...

配属先の敷地内を歩いてオフィスに向かっていると、普段は干上がっている排水溝に水が流れていることに気付きました。

魚好きや釣り好きの方ならわかってもらえると思うんですが、魚影を期待して水を覗き込むように見てしまいます。

さすがに排水溝には何もおらんやろ、と高を括っていたら、何やらニョロっとしたものがうごめいていました。

IMG_9232.JPG

ドジョウ!?...にしては長いし、なんか違うぞ?

その辺にあったビニール袋で捕まえて、オフィスの使わないプラケースに移して観察しました。

トゲウナギさん、お初です

調べてみると、この魚は「トゲウナギ」だとわかりました。

ウナギが名前に入るもののウナギのグループ(ウナギ目)ではなく、タウナギ目に属します。

(「目」は「モク」と読み、分類学的な階層の1つを指します。モクを含む分類階級についてはこちら→動物紹介① ~usipa~

分かりやすい見た目の特徴として、このグループの魚は鰓(えら)の開口部が体側面の下半分にとどまります。

この時点でウナギとも、ドジョウ(コイ目)とも全く異なるのです。

魚の背びれは棘(きょく)とその後ろの軟条(なんじょう)、それらの間の膜組織で形成されています。

そしてトゲウナギは背びれの棘(きょく)が膜組織とは分離され、トゲだけが並んでいます。これが英名の「Spinyeel」に結びついており、直訳されて日本語名のトゲウナギになったそうです。

細長く伸びた鼻孔で、水の底の餌を探しているとされています。

トゲウナギ顔.jpg

トゲウナギのグループは日本には確認されておらず、東南アジアやアフリカに分布しています。

そして分布情報や生体写真から、この子は恐らくMalawi Spinyeel (Mastacembelus shiranus) だと思われます(IUCN Red List)。

マラウイ湖周辺水域にしか生息しない固有種です。

迷彩柄のような体色がカッコイイですね~!!


以上、珍魚トゲウナギでした!

いつか見れたら...と思っていたお魚と、まさかマラウイで出会うとは思っていませんでした。

そして配属先の側溝で会うという偶然...。

トゲウナギをオフィスに持っていくと、同僚も見たことないらしく驚いていました。十中八九僕にも驚き、引いたと思います(笑)

さらに、その日の午前中に敷地内のタンクの清掃があったらしく、排水した際に流されてしまったのでは、と情報を提供してくれました。

そうかそうか、なるほど...ん??タンクに魚が住んでる??

そういえば、水処理施設見学に同行させてもらった際、生徒と引率者の写真を撮るためにタンクの屋上に上がったことがありました。

その時、この魚とは別の魚が群れで泳いでいました。リロングウェ川から取水する際に、一緒に引き込んでしまうのでしょうか。

池ならぬ、「タンクの水全部抜く」で日本のテレビ番組が取材に来ないかな~!なんて淡い期待...

 

―さて、任期終了が近づいてきました。

実は今回で、動物紹介は最後となります。

動物紹介を楽しみにしてくださった方(果たしているのだろうか)、少しでも読んでくださった方、本当にありがとうございました。

マラウイまたはアフリカ特有の動物をご紹介してきました。生物の面白さを伝えられていたら、これ以上の幸せはありません!

学名まで明記したのは、もしかするとその生物の情報を欲している研究者の方が、学名で検索したときにヒットするかも、なんて考えていたためです。分布や大きさの情報だけでも、役に立てられたらと。

本編はもうちょっとだけ続きますので、もう少しお付き合いいただけますと幸いです!

本日はこれにて!Tionana!

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