JICA海外協力隊の世界日記

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首都リロングウェが抱える問題と配属先の課題

皆さんこんにちは。今回は、首都リロングウェが抱える問題と配属先についてご紹介しようと思います。

 

リロングウェ市の人口増加と配属先の課題

実はリロングウェがマラウイの首都となったのは、独立から11年後の1975年(*1)で、それまではゾンバがマラウイの首都でした(独立についてはこちら→マラウイってどんな国?Part. 5、各市町村の位置関係はこちら→マラウイってどんな国?Part.1

現在、マラウイの人口は増加し続けており、2008年時点の13,077,160人から、2018年には17,563,749人と推移しています。(*2, P. 4)リロングウェ市の人口は、2008年時点の669,532人から、2018年には989,318人にまで増加しました(*2, P. 47)。マラウイ全体の人口より、リロングウェ市における人口増加率が高いことがわかります。リロングウェで様々なマラウィアンと話しましたが、出身を聞くとそのほとんどがリロングウェ以外の市町村でした。彼ら曰く、仕事を求めてリロングウェに移住したそうです。

私の配属先であるリロングウェ水公社は、リロングウェ市とその近郊地域に水を供給しています。リロングウェ市の人口が増加する中、水の供給率を上げつつ、効率的な水供給が課題となっています。さらに、「無収水」と呼ばれる、パイプの損傷や違法接続により料金を徴収できない水もまた、配属先を悩ませています。現在、その無収水率を下げるべく、リロングウェ水公社とJICAから派遣されている専門家の方々がタッグを組み、問題解決にあたっています。

水源林の伐採

リロングウェ水公社はリロングウェ川のそばに位置し、そこから直接取水し、ろ過や殺菌などを行い、各地へ配水しています(上の写真は取水地付近で撮ったものです)。リロングウェ川の水源は、リロングウェ市から南西約50kmにあるザラニヤマ森林保護区です。保護区、となっていますが警備が行き届いておらず、薪や木炭製造のための森林伐採が続いています。リロングウェ市とザラニヤマ森林保護区の間を通るときは毎回、サムネのように自転車で大量の薪を運ぶマラウィアンの姿を目にします。

森林伐採の背景として、ほとんどのマラウィアンが調理や暖房に薪や木炭を使うことが挙げられます。2018年時点で、マラウイ全体の約77.4%の世帯が料理に薪を使用し、木炭と合わせると全体の約95.6%もの世帯が木材由来の薪炭材を使用していることになります(*2, P. 34)。そして、電気を炊事の際に使用している割合は1.9%、電気を光源として主に使用している世帯の割合は約11.4%なので、電気を使用できるものの、炊事の際に薪炭材を使用している家庭もある可能性が考えられます(*2, P. 34)。

リロングウェ水公社は、マラウイ森林局とは別に植林活動を行っています。マラウイに生育している種の苗を、毎年雨季に取水地~リロングウェ川沿い~カムズダム(配属先所有のダム)ほとりにかけて植えています。

自分も植林をお手伝いしていますが、勝手に木を切ったり、薬草を取るなどと言って侵入する人たちが問題になっており、恐らく枯れてしまった苗木は誰かに踏まれてしまったのかもしれません。どうにかできないものかと日々頭を悩ませています。


アフリカやアジア、南アメリカで問題になっている森林伐採。しかし周辺住民からすると、その多くが生計を立てるために森を切り拓いています。その中身は農地開墾や木材調達、マングローブ林であればエビ養殖など、地域や環境によって様々です。

CO₂の吸収だけでなく、森林は水を貯蔵する機能や、土砂災害の予防など、目には見えませんが私たちの生活に密接に関わっています。さらには人工林よりも天然林により多種多様な生き物が生息し、それらの生き物同士、または生き物と環境のつながりがあって、森林は正常に機能しています。日本においては、風力発電や太陽光発電設備の建設、外国資本による買収などにより、特に貴重な原生林が失われ続けています。

今のところ、植林地で直接何かできていないことが悔しいですが、現地住民の暮らしと、森林伐採の背景について理解することが、まずは肝要なのだろうと思います。

途上国の問題に少しでも関心をもっていただければ幸いです。

本日はこの辺で。Tionana!

 


<参考文献>

*1(マラウィを知るための45章【第2版】、2010)

*2(2018 Malawi Population and Housing Census Main Report)

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