JICA海外協力隊の世界日記

今日も Jamm Lekk !

# 4 国際デー

こんにちは。篠宮です。

僕は今、セネガルの首都ダカールで、障害児・者支援の隊員として活動しています。

今回は、最近あった3つの国際デーについて、ご紹介したいと思います。

前々回の記事で、「世界子どもの日」をご紹介させてもらいました。

詳しくはこちらをご覧ください。

https://world-diary.jica.go.jp/shinomiyahayato/cat3120/_2_doom_doom_la.php


まずは、12月3日「国際障害者デー」です。
日本では、
①国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めること
②障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めること
を目的として、「障害者週間」(12月3日〜9日)が設定されています。

国連広報センター on X: "小池 百合子 東京都知事 @ecoyuri(ビデオメッセージ)、 #五嶋みどり 国連ピース・メッセンジャー、  国連本部の「 #国際障害者デー 」イベントに参加 ~12月3日は #国際障害者デー ~ https://t.co/fRVD9JQ54D  https://t.co/fFZde2Wmm2" / X

WHOのHPによると
https://www.who.int/campaigns/international-day-of-persons-with-disabilities/2023

世界の障害者の状況は、13億人以上の人が何らかの「障害」を有しており、その人数は世界人口の16%に相当するそうです。

日本の障害者の状況は、内閣府のHPによると(https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r05hakusho/gaiyou/pdf/r05gaiyou.pdf

身体障害(児)者:436万人知的障害(児)者:109万4千人精神障害者:614万8千人
複数の障害を併せ持っている人もいるため、正確な人数ではありませんが、合計1,160万2千人
これは日本の人口約9.2%の方が、何らかの「障害」を有していることになります。

この数は日本の苗字ランキングで上位1-9位を占めている「佐藤さん」「鈴木さん」「高橋さん」「田中さん」「伊藤さん」「渡辺さん」「山本さん」「中村さん」「小林さん」を足した数である1,152万6千人よりも多い計算となります。
2023年全国名字ランキングについて⇨https://news.mynavi.jp/article/20230914-2771174/
※複数の障害を併せ持っている人もいるため、正確な人数比較ではありません。

皆さんの友だちや職場の同僚、上司、近所の方などに、上記に列した9つの名字の方が1人はいるのではないでしょうか?
反対に、皆さんの友だちや職場の同僚、上司、近所の方などに「障害」を有している方は、いらっしゃるでしょうか?

僕は今、ダカールの「障害児・者」支援の現場で、知的障害や発達障害などを持つ児童及び青年たちと関わる機会を頂いています。

日本にいた時も同様に、「障害児・者」と呼ばれる方たちと、ときにアルバイトやボランティア、職員、同僚として、ときに友人として、大人として色んな立場で彼らと関わる、過ごす、暮らす機会がありました。

それでも、全ての「障害児・者」のことが分かるわけではありません。
僕はこれまで、彼らと一緒に過ごして、一緒に暮らしてみて気付くこともたくさんありましたが、全てを理解できたわけでもありません。
まだまだ彼らのことを知らないことばかりです。

『Nothing About us without us』【私たちのことを私たち抜きに決めないで】

この言葉は2006年、国連で【障害者権利条約】(障害者の権利に関する条約)が採択・策定されるにあたって、世界各地の障害を持つ方たちが参画した際の合言葉とされたものです。
(日本も2014年にこの条約を批准しています。)

僕がこの言葉に初めて出会った時、ハッとさせられたのを覚えています。
僕は彼らのことを、まだまだ知らないことばかりです。だからこそ、この言葉をこれからも忘れずにいたいと思います。

続いて、12月5日「国際ボランティアデー」です。
①ボランティアやその組織が果たす社会的役割の大きさを確認し、それを多くの人々に広めるとともに、国内外のボランティア活動への参加を促進すること
②世界中のボランティアの意義を認知・推進すること
などを目的に国連によって定められた国際デーです。

セネガル(ダカール)でも、当日はイベントがあり、一人のボランティアとして参加させてもらいました。

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会場には、イベントの開始時刻(10時)に合わせて、多くの機関や団体のボランティアとその関係者たち、メディア関係の方たちを合わせた数百名が集結してきていました。
僕も「JICA」と書かれた、上の写真の椅子に座って、イベントが始まるのを30分、1時間と待ち、90分〜2時間が経った頃、無事に始まりました。
(※セネガルではよくあることです)

しかし、始まって数十分後に、会場が停電。(※セネガルではよくあることです)
照明が消えて、流していた音量やマイクなどの機材が一切使えなくなり、司会者の地声で会が進んでいきます。

この日は、僕と他の団体等のボランティアたちは
それぞれの「名前」「配属先」フランス語 or ウォロフ語(セネガルにある現地語の一つ)で、
「簡単な挨拶」(事前に提示頂いた文)をボランティアの現地語(僕の場合は日本語)で発表する予定となっていました。

イベントが始まり、数十分後に僕たちの出番がきました。
僕も前方のスペースに行き、全体的に少し薄暗い中、日本名フランス語で、セネガル名配属先ウォロフ語で話し、最後に「国際ボランティアデーへようこそ。みんなでボランティアしましょう!」と日本語で発表しました。
僕のセネガル名については、いつか紹介したいと思います。

その後も、電気は復旧することなく、ボランティアに関する寸劇を挟んだりと、セネガルらしさ全開で会は粛々と進んで、予定時間を過ぎて終了しました。
(※どれもセネガルではよくあることです)
とりあえず、いい意味で記憶に残るイベントになりました。

今回のイベントに参加したセネガル隊員は僕だけでしたが、現在、セネガルには26名の隊員がいます。
僕がセネガルに着任する前の今年の2月には、セネガルに協力隊が派遣されて40周年を祝うイベントがあったそうです。

「ボランティア」に焦点を当てた、「国際ボランティアデー」
活動をしながら「ボランティア」という立場や立ち位置などに、葛藤することもあります。
それでも、どうして僕はセネガルに来たのか?なぜ協力隊になりたいと思ったのか?などの初心を、改めて振り返る機会にもなりました。
そして、会場に集結した自分以外のボランティアやその関係者の方々、今回のイベントを主催してくださった関係各所の方々の存在も改めて、認識する機会となりました。
いろんな人たちのおかげで、活動できていることに感謝して、悩んで、葛藤しながらも自分にできることを続けていきたいと思います。

最後は12月10日「世界人権デー」です。
日本では、
法務省の人権擁護機関が12月4日〜10日を「人権週間」と定め、各関係機関・団体と協力して、全国的に人権啓発活動を行っています。

今年の12月10日は国連総会で「世界人権宣言」が採択されて75周年にあたります。
『世界人権宣言75周年特設サイト』もあるので、
興味のある方は下記のURLをご参照ください。

https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/75th_humanrights/

世界人権宣言は全30条にわたって、さまざまな人権を包括しています。
上記のサイト内には、谷川俊太郎さんとアムネスティ・インターナショナル日本さんが、分かりやすい日本語に訳した「世界人権宣言」のバージョンも公開されているので、そちらも興味のある方は下記のURLをご参照ください。

https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/75th_humanrights/amnesty/

セネガルの首都であるダカールの沖合には、「奴隷貿易」の拠点となったゴレ島があります。
このゴレ島は「負の世界遺産」として、かつてここで起きた悲劇を今に伝えています。
僕もセネガルに来てから、ゴレ島を訪れました。ゴレ島のことも、いつか詳しく紹介したいと思います。

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日本にも同じように、「負の世界遺産」として広島に「原爆ドーム」があります。
原爆ドームにも、大学生の頃、訪れました。

どちらも頭では分かっていても、実際に展示物や現物を見ると、衝撃を受けて心が締め付けられる感覚になりました。

話は変わって、福祉の現場にいると、「〇〇の人権(権利)」という言葉によく出会う気がします。
〇〇には、障害者だったり、子どもだったり。

また、よく言われるのが「優しいね。」っていう類の言葉です。その言葉に悪気がないのは重々承知ですが、たまに引っかかることもあります。
なぜなら福祉の現場にいても、障害児・者支援の現場にいても、僕の中には障害児・者に関係なく、多くの差別や偏見、まだまだ分からないことや知らないことがたくさんあるからです。
勝手に自分の中で決めつけてしまっていたことから相手を誤解してしまうことも、全く違う視点で見ていたことも、何かを押し付けてしまうこともあり、自分だけではない他者の視点に立つことの難しさを感じます。

そんな中、今回、世界人権宣言について調べている中で見つけた、「世界人権宣言」の起草者の一人である「エレノア・ルーズベルトさん」の言葉に、ヒントがある気がするので、ご紹介したいと思います。


“Where, after all, do universal human rights begin?
In small places, close to home – so close and so small that they cannot be seen on any maps of the world.
Yet they are the world of the individual person; the neighbourhood he lives in; the school or college he attends; the factory, farm or office where he works.”

結局のところ、普遍的人権はどこで始まるのでしょうか。
小さくて、身近な、それゆえに世界のどんな地図でも見つけられないすぐ足元から始まるのです。
けれども、それこそが一人一人が生きている世界なのです。人権は、暮らしている地域、通っている学校や大学、働いている工場や農場、オフィスなどから始まるのです。
(国連広報センター訳

「人権」や「権利」。
僕にはまだまだ分からないことも、難しさを感じることもあります。
なので、まずは自分の中にある色んなモノも、他者の中にある色んなモノも大事にしていきたいと思います。

それではまたお会いしましょう。

長くなりましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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