2026/10/06 Tue
教育
「選ばれた!」に、ガッツポーズ ~新しい教科書づくりが、私の教室にやってきた~

こんにちは。PNG(パプアニューギニア)数学教育隊員の山岸です。
アロタウのキャメロンセカンダリースクールに赴任して、6ヶ月目。今回は、少し誇らしい出来事をお伝えします。私の配属先が、新しい教科書づくりのための視察校に選ばれたのです。
その話の前に、まずはパプアニューギニアの教科書のことから。
♪みんなで同じ教科書で学ぶ、という当たり前
日本では、全国の子どもたちが教科書を手に学んでいます。当たり前の光景です。でも、パプアニューギニアには長い間、全国共通の国定教科書がありませんでした。
そこで2016年、パプアニューギニア教育省とJICAが一緒にプロジェクトを立ち上げました。約4年をかけて、小学校3〜6年生の算数・理科の国定教科書と指導書が完成しました。日本の教科書会社のノウハウを生かしながら、この国の自然や文化を取り入れ、学校で試行を重ねて作り上げたものです。完成した教科書は日本の支援で印刷され、全国の小学校に届けられました。
その後、1・2年生の算数教科書も開発されました。今では1年生から6年生まで、日本の算数教育を土台にした教科書がそろっています。
♪教科書は、使ってこそ
ただ、教科書は届いたら終わり、ではありません。教室で使われて、初めて意味を持ちます。
こちらでは教科書を使った授業がまだ始まったばかり。使い方に戸惑う先生も少なくありません。そこで、各地の教育隊員が先生たちと一緒に、教科書の活かし方を考えています。首都やポポンデッタ、そして先日はここアロタウでも、隊員による教員研修会が開かれました。その様子は、下のリンクからご覧ください。

♪次は、7年生から10年生へ
6年生までの教科書がそろった今、次は7年生から10年生までの教科書づくりが始まろうとしています。その準備として、日本のJICA本部から職員の方々がパプアニューギニアを訪れ、各地の学校を視察しています。
アロタウにも視察団がやってきました。ミルンベイ州行政庁や州教育局への訪問に加え、ゴイラナイ小学校、アロタウ小学校、コエアブレ小学校、ハギタセカンダリースクール、そして私のいるキャメロンセカンダリースクールを回ります。
キャメロンセカンダリースクールでは、数学と理科の授業参観に加えて、9年生1クラスの学力を把握するためのテストを行うことになりました。数学と理科、それぞれ1時間です。
♪「選ばれた!」にガッツポーズ
視察前の月曜日。全校集会で、校長先生が発表しました。
「新しい教科書をつくるための活動に、キャメロンセカンダリースクールが選ばれました」
その瞬間、生徒たちがガッツポーズ。「やったぜ!」という声が聞こえてきそうな反応です。
実は、テストを受けるのは私の担当クラスでした。他のクラスはテストなし。ちょっと申し訳なくて、事前に「このクラスだけテストでごめんね」と謝りました。
返ってきたのは、思いがけない言葉です。
「新しい教科書のために選ばれて、光栄です」
素直な生徒たちに、こちらが「ありがとう」と言いたくなりました。
♪テストのあとは「へっちゃら!」
当日は担当の方が来校し、休憩をはさんで2時間のテストを行いました。
その後、偶然にも私の授業が2コマ連続で入っていました。「朝のテスト、どうだった?」と聞いてみます。
生徒たちは「へっちゃら!」と元気なポーズ。頼もしい限りです。

♪日本についての質問が止まらない
この2コマには、JICAの方々や、アロタウで一緒に活動する隊員仲間も参加してくれました。テストの疲れもあるはず。予定の内容を終えたあとは、「日本についての質問コーナー」にしました。
これが、止まりません。
「日本の高校の1日の時間割は?」
「日本に高校は何校あるの?」
「病院はどれくらいあるの?」
「おいしい食べ物は?」
「おすすめの旅行先は?どの季節に行けばいい?」
さらに驚いたのは、「日本の台風被害はどうなったの?」という質問です。以前の授業で、私が「最近、日本で台風の被害があって大変なんだ」とふとこぼした一言を、覚えていてくれたのです。
目を輝かせて質問する姿に、日本への関心の高さと、相手を思いやる優しさを感じました。
♪廊下でも「先生、この問題は?」
視察団の方々と校内を歩いていると、数学の質問をしに来る生徒が次々と現れます。JICA職員の方が驚いていました。
正直に言います。ちょっとうれしい自慢話です。
放課後には、JICA職員の方々が数学と理科の先生たちに丁寧に話を聞き、理科室も見学していました。新しい教科書は、こうした一つひとつの声の積み重ねから生まれていくのだと感じました。
♪学んだこと
新しい教科書づくりに、キャメロンセカンダリースクールが協力できたこと。それが、とてもうれしいです。先生方と生徒たちの協力で、少しでも使いやすく、学力向上に役立つ教科書が完成すれば、これ以上の喜びはありません。
授業の最後、生徒たちは見学に来た方々へ「また来てください!」とエールを送っていました。
赴任して6ヶ月目。生徒たちに教えるつもりで、教わることばかりです。私の自慢の生徒たちです。
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