JICA海外協力隊の世界日記

だーまえのコーヒー日記

任地周辺のコーヒー栽培における課題!

みなさん、こんにちは!

お久しぶりです。

もう既に私の世界日記のプロフィール写真を見てお気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は約2年の活動を終了し621日に日本へ帰国しました!

今は次の職場探しのため、移動中のフェリーの中からこの記事を書いているところです()

そして前回の世界日記から大分時間が経ってしまい、本当に申し訳ありません!書きたいことはあったのですが、帰国前最後の活動や帰国準備に時間を取られてしまい、執筆することが出来ませんでした

さて本題に入らせてください。

前回の記事「コーヒーハンターがルワンダへやってきました!」で、任地周辺のコーヒー農家が抱える3つの課題について簡単に述べました。今回の記事では、「剪定」「施肥」「シェードツリー」3つに関する課題について詳しく書いていこうと思います。

まず「剪定」についてです。「剪定」とは、コーヒーの木に生えている余分な枝などを切り落し、次のシーズンのコーヒーチェリーの収量を上げ、コーヒーの木がかかりやすい病気や害虫の被害を抑えることを可能にします。

この剪定という作業、十分に施肥ができない、殺虫剤を買うことが出来ない農家にとって、本当に大切な作業の一つになります。しかしそのことを理解しているコーヒー農家は非常に少ないことが、農園調査をして分かりました。

(実際、訪問し調査をしたコーヒー農家55件のうち約半数以上が十分な剪定を行っていませんでした。この農園調査は昨年9月~12月の間に行ったもので、その様子は以前執筆した「コーヒー畑での活動の様子を紹介します!」にも書いてありますので、是非チェックしてみてください。)

そのため私はウォッシングステーション(コーヒー加工場)の農業技官と一緒に、剪定の効果と方法を書いたチラシを用意し農家全体へ配布、更に農園を訪問し指導を行いました。

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上の写真がチラシを配布した時の様子です。私たちが配布するときは要点を簡潔に話し、その後コーヒー農家に渡したチラシを各自のペースで読んでもらう流れにしました。嬉しいことに彼らは私たちが用意したチラシを黙々と読んでくれました。

その中で嬉しかったのは、「剪定のことについて詳しく知らないから俺に教えてくれ!」と言ってくれた農家の存在です。私たちの活動がほんの少しでもコーヒー農家に影響を与え、彼らの小さな変化を自分の目で見ることが出来たのはとても嬉しいことでした。下の写真のおじいさんがその中の一人です。私はその方と一緒に剪定をしました。

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次に「施肥」についてです。私は農園訪問を通して、コーヒー農家の中にも貧富の差があることを知りました。農園を訪問する際、私は必ず「家畜は飼っていますか?」という質問をしています。それはなぜかというと、家畜を飼っている農家は比較的お金持ちで、かつ堆肥を自分たちで作っていることが多いため、コーヒーの木に栄養が行き届いている傾向があるからです。

それでは、家畜を持っていない農家はどうすればよいのか。キッチンコンポスト(台所から出る生ごみを利用した堆肥)をつくることも大切なことの一つですが、ルワンダでは嬉しいことに年に一回、国から無料で化学肥料が配られます。しかし私がコーヒー農園を回ってみて気づいたのが、コーヒーの木一本一本に対しきちんと肥料が撒かれていないという現状でした。

こちらがその時の写真です。

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化学肥料を撒く量やその肥料を撒く範囲について分からない農家が多かったのです。ちなみに一回の施肥には100gの化学肥料を使用し、コーヒーの木の主幹から20cm離して施肥することが大切です。私が見てきた農家は、化学肥料の量が少なくかつ木の幹に近いところにも肥料を撒いていました。

そのため、この問題に関してもチラシを作成し、剪定の時と同じような方法で伝えていきました。剪定の時と違うのは、私たちは一本のコーヒーの木に対する化学肥料の量り方を、農家の身の回りにあるものを使用して紹介していった点です。ルワンダ人は料理を作る際よくトマトペーストを使います。そのトマトペーストが入っていた缶を再利用し、肥料をきちんと量りましょうと伝えてきました。

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上の写真が、トマトペーストが入っていた缶です。一缶山盛りにすると100gの化学肥料を量ることが出来ます。私たちはチラシ配布と、実際に電子スケールを使用して施肥の仕方について農家のグループに説明した後、剪定の時と同じように各農家を訪問、現場指導を行いました。

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話は少し変わりますが、私の活動先のウォッシングステーション付近の今年のコーヒーチェリー収穫量は、昨年と比較し約30%多く収穫することが出来ました(523日現在)。この収量の増加に関しては、様々な要因が関わっていることは確かです。ただ私としては、私と農業技官で行ってきた活動が少しでも収量向上に貢献できていれば嬉しいと思っています。


最後に「シェードツリー」についてです。この「シェードツリー」というものは、コーヒーの木と一緒に植えコーヒーの木に日陰を与えてくれる木のことをいいます。コーヒーの木は強い日差しにとても弱く、シェードツリーが無ければ安定したコーヒーチェリーの収穫が見込まれません。そのため、適切な数のシェードツリーはコーヒー栽培には必要不可欠です。

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その一方でこの2年間、私はシェードツリーに関する活動を行うことが出来ませんでした。昨年末にかけて行ったコーヒー農園調査を通して、任地周辺の農園にはシェードツリーがあるものの、その数や植えられているシェードツリーの間隔に問題があることに気づきました。

私の気づきが遅かったため私が出来たことは、シェードツリーの効果と適切な植え方を説明したチラシの作成でした。農業技官が効率よく農家に指導できるようにと考えての行動でした。また、剪定、施肥、シェードツリーのチラシを一冊の本にまとめ、一部地域に配布してみました。

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シェードツリーに関する活動は今年10月~12月にかけて行われます。私の帰国後、同僚がきちんと農家へ指導してくれることを祈っています。

以上、任地周辺におけるコーヒー栽培の課題について述べてきました。彼らの行動に影響を与えていくことはとても根気がいる作業ですが、いつか今よりも沢山のコーヒーチェリーと更に美味しいコーヒーができることを信じて行動するのみだと考えて今まで活動を続けることができました。

みなさん、ここまで読んでくださりありがとうございました。

それでは、次回投稿もお楽しみに!

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