2025/08/14 Thu
活動
Dan Japanaのはなし


Zdravo! ズドラヴォ
セルビア観光隊員の星野です。
さて今回は、6月に任地ロズニツァ市で開催した日本紹介イベントDan Japanaについてです。
開催日は、同市の創立記念ウィーク中の6/14(土)。この1週間はコンサートや民族舞踊集会など沢山の催し物で、市の創立記念日をお祝いします。今回Dan Japanaをその一つに組み込むことで、市と日本の友好ムードをさらに高めようという、配属先の計らいもありました。
プログラム (11:00-17:00):市の文化センター2階ギャラリーと、屋外メインストリート、ステージの3カ所をつかって実施しました。
ポスター:隊員作成。観光局のインスタにも投稿しました。
開会式の様子:在セルビア日本大使と書記官の方々、ロズニツァ市長にもお越し頂き、開会の御挨拶を頂戴しました。
JICAバルカン事務所からは次長とボランティア調整員の方がいらして下さり、多くの市民をはじめ、市議会や関係各所、メディアなど沢山の来場者を迎えました。


開会の挨拶で市長は、「本日、私たちの街は扉と心を開き、二つの国民、二つの伝統をつなぐ架け橋となります。私たちの願いは、友情と相互理解です。今日のこの日は、日本に捧げられています。豊かな歴史を持つ国であるだけでなく、その芸術、技術、哲学、そして質素で優雅な生活様式を通じて世界にインスピレーションを与えてきた国です。このイベントは、私たちの町と市民が日本国民に対して抱く真摯な敬意の表れです。(後略)」と述べられました。今村大使もまた、同市と日本の繋がりについてふれられ、日本とロズニツァ市の交流がさらに発展するようにと、全文セルビア語で御挨拶下さいました。
メディアも多数当日の様子を取り上げて、沢山のあたたかいコメントを届けてくれました。市の創立記念ウィークのイベントであったこともあり、同市と日本との友好を願う記事が多くみられました。
ここからは当日の雰囲気を味わっていただきたく、写真多めでいきます!
三味線演奏:なんと楽器を日本から持参されたマーケティング隊員!繊細な音色を披露頂きました。皆さん興味津々です。演奏後は、ユネスコ無形文化遺産の一部であるセルビアの弦楽器グスレと並べて三味線を展示しました。

点茶体験:障がい者支援隊員が担当して下さり、茶道の精神や抹茶の点て方を説明しました。トップバッターを務めて下さったのは市長!抹茶の苦みといちご大福の甘みのコントラストを気に入って下さったようです。その後も続々と希望者が体験しました。茶道具それぞれには、日本語教育隊員が作成した日本語/英語のカードを。(いちご大福…苺は市場、餅粉は中華ショップで購入、小豆餡は日本から持参。)

「ロズニツァ市と日本のつながり」展:過去から現在に至るまで、ロズニツァ市と日本のつながりをパネルにしました。実は60年ほど前に沢山の日本人技術者が駐在していた同市。当時の記録はほとんど残っていません。けれども市民の方々は、当時の記憶をいまも語り継いで下さっています。
今回の展示は、それらを少しでも記録として残そうとしたもので、博物館や市民の方々、また同市と民族舞踊を通して交流を深められた日本の福山市フォークダンス協会(代表:岡義昭様、由美子様)に沢山の御協力を頂きました。
パネルの下には、当時の写真やポストカードなど、日本と同市にゆかりのある資料を展示しました。下の写真は、和服姿の日本人女性、裏面には金閣寺がデザインされたヴェゲタという調味料の缶。現在も愛される万能調味料です。
博物館学芸員の方と調べましたが、どうしてこのデザインになったかの詳細は分からず。。。当時ユーゴスラビア全土の家庭にこの缶があったと思うと不思議な気持ちになります。
パネルの一部。バニャ・コヴィリャチャの噴水について。
調査に協力頂いた方々。この他にも沢山の方が力を貸してくださいました。
「日本クイズ」展:日本語隊員が日本の歴史や文化などをクイズ形式のパネルにしてくれました。手作りのキャラ弁も!写真1枚目は地元紙Lozničke novostiから借用。

「日本風景写真」展:経産省が提供するFIND/47を活用させて頂きました。
午後は、屋外プログラム。お好み焼きの屋台や浴衣・法被の試着に加え、習字と、美術が専門の障がい者支援隊員による「マンガ風似顔絵」が大盛況でした。
お好み焼きと浴衣は、事前に地域の青年ボランティアを募り、2回に分けて事前練習を実施しました。本当に素晴らしい活躍で、かけがえのない存在です。
そして、武道隊員によるパフォーマンス。柔道隊員は冒頭クイズを交えながら英語で柔道を紹介し、技を披露してくれました。その後、観客が技を体験。地元の道場主が参加するなど盛り上がりました!
最後は剣道隊員とベオグラードから駆けつけて下さった竜道場の生徒さん。圧巻の剣道形からはじまり、技のデモンストレーション、そして観客が面につけた風船を竹刀で割る体験会を実施しました。これがなかなか難しく、普段見たことないほど真剣な顔で竹刀を振る子どもたちが愛らしかったです。


隊員の皆さまには、並々ならぬ協力を頂き、本当に感謝してもしきれません。
午後は並行して、大使館、市関係者は観光局視察と隣町のバニャ・コヴィリャチャでの昼食会に参加されました。
配属先のロズニツァ市観光局を御視察されている様子。夏の火祭りの松明を紹介しています。
上記「ロズニツァ市と日本のつながり」展でも取り上げた、60年程前に日本企業が寄贈した噴水の前で。
昼食会場のKur salonの前で地元のバトンガールたちとともに。
バックステージ
イベント準備の様子をすこし。
会場設営に気をもんでいましたが、文化センターと博物館の方が頼まれずとも動いて下さり、、、プロの仕事でした(泣)
美しい打掛は、ロズニツァの舞踊団と交流のあった福山市フォークダンス協会が贈呈されたものです。この日のために、会場へ移動してもらいました。
浴衣着付けの練習。はずかしがりながら、マネキンになってくれる男子も。もっと練習しても良い?もっときれいに見せるにはどうしたらいい?と真剣な子どもたち。帯の結び方までマスターしました。素晴らしすぎる。。。
イベントを終えて
当イベントの開催を通じて得たこと・学んだこと:配属先だけでなく様々な関係者と繋がることができ、隊員活動の幅が広がる大変貴重な機会となりました。同時にボランティアという肩書で、地方の公共機関で周りを巻き込みながら働くことや、多数のステークホルダーの意見を平等に取り入れることの難しさを学びました。規模の小さい町であるからこそ小回りが利く一方、今後の活動に響くような対立も起こりやすいのです。セルビア語はもちろん現地の価値観を理解する大切さを改めて感じています。
開催の意義:セルビアの初代観光隊員でいらっしゃった酒井さんが、2023年にズラティボルで開催された日本文化デー。それをロズニツァ市観光局がソーシャルメディアで見聞きし、今回のDan Japanaに繋がりました。観光隊員の本来の役目とは少し離れた活動ですが、ロズニツァ市の観光振興や日本と同市の親交深化、相互理解促進、そして今後の協力隊活動の充実に繋がる大きな利点があると考えています。何よりも今回、前隊員が初めて実施されたイベントを繋ぎ、セルビアの別地域で実施したことに大きな意義があると感じています。隊員が築いたものを大切に、広げていけたらと思います。
長くなりました、今回はここまで。
それでは
Ćao!
★当日の様子 ロズニツァ市公式インスタグラム(動画)
★メディア一部(セルビア語)
- “Дан Јапана у „Данима Лознице“”, ロズニツァ市公式HP
- “Ambasador Imamura prisustvovao je manifestaciju „Dan Japana (Japan Day)“ u Loznici”, 在セルビア日本大使館公式HP
- “PRIJATELJSKE VEZE JAČE OD DALJINE U prisustvu japanskog ambasadora održan“Dan Japana””, Kurir
- ““ДАН ЈАПАНА” У ЛОЗНИЦИ – Равнотежа се може живети”, Lozničke novosti
- ほか多数
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