JICA海外協力隊の世界日記

コロンビア共和国便り

環境教育/コロンビア日記7(配属先の学校における教育環境)

こんにちは。
コロンビア共和国に環境教育の隊員として派遣中の、三井貴博です。
今回は、コロンビアで私が配属された学校の教育環境についてご紹介します。


1. 配属先の1年間の大まかな流れ

配属先の学校は、1月に新年度が始まり、12月にその年度が終わります。
長期休暇も度々あり、その期間は児童・生徒だけでなく教職員も含めて全員が休みになります。

1月:新年度開始
4月:約1週間の休み
6~7月:定期テスト、約3週間の休み
10月:約1週間の休み
11月:定期テスト、年度末の学校行事
12~1月:約7週間の休み


2. 中等教育課程における1日の流れ

(1) 午前の時間割
5:30~6:00 登校(各学年の1~3組の生徒)
6:00~7:50 1・2時間目の授業
7:50~8:00 休憩
8:00~9:50 3・4時間目の授業
9:50~10:10 休憩
10:10~12:00 5・6時間目の授業
12:00~12:30 下校

午前の教員の労働時間は、6:00~12:00までの6時間と、2時間の在宅勤務が基本となっています。

(2) 午後の時間割
12:00~12:30 登校(各学年の4~6組の生徒)
12:30~14:20 1・2時間目の授業
14:20~14:30 休憩
14:30~16:20 3・4時間目の授業
16:20~16:40 休憩
16:40~18:30 5・6時間目の授業
18:30~19:00 下校

午後の教員の労働時間は、12:30~18:30までの6時間と、2時間の在宅勤務が基本となっています。

※各学年、1組と4組、2組と5組、3組と6組が、午前と午後でそれぞれ同じ教室を使用します。そのため、下校時に生徒は教科書や私物等を教室の中に保管することはできません。
※初等教育課程は、時間割が若干異なります。
※配属先には夜の時間割(19:00~22:30)もあります。


3. 日本の学校との比較

私が日本で勤務したことのある中学校と、現在の配属先における中等教育課程の様子を比較してみました。

(1) 共通点

授業形態: 月曜日から金曜日まで毎日授業があり、1日の最大授業時間は6時間です。主要な5教科に加えて、体育、芸術、情報などを学習します。教科担任制で、授業では教科書や、教員が作成した教材が使われます。
学級構成: 1学級あたりの生徒数は30~40人程度です。
校内設備: 図書室や体育館、講堂等があります(写真1)。
集会: 長期休暇の前後に全校集会があります(写真2)。生徒数が多いので、学年ごとに分けて行われます。

写真1、2.png

定期テスト: 年に2回、6月と11月に実施されます。試験内容は、大半が選択問題です。
歌:
学校行事の度に、国歌や校歌を歌います。胸に手を当てながら国歌を歌う生徒も多く、国歌への敬意や愛国心を感じます。
避難訓練: 1年に1回、実施されます。
服装: 生徒は制服または体育着を着用します。
面談: 学級担任と生徒、保護者による定期的な面談が行われます。

これらの共通点から、国や文化が違っても学校が担う役割や教育の目標は、共通するところが多いのではないかと思います。

(2) 異なる点

配属先には独自の文化や習慣もたくさんあります。
特徴的だと思った点をいくつかご紹介します。

自由な校内生活: お菓子やジュースを誰でも自由に持ち込むことができます(写真3)。電子ゲームやスマートフォン、おもちゃ等も自由に持ち込むことができます。教員の服装に関しても、本ページの冒頭の写真にあるように、基本的には自由です。
教室の環境: 教室では黒板の代わりにホワイトボードを使い、テレビも設置されています(写真4)。休み時間になると生徒はみんな教室の外に出て、教室には外から鍵を閉める習慣があります。

写真3、4.png

掃除や部活動がない: 学校の掃除は常勤の清掃員が行うため、生徒による掃除の時間はありません。また、部活動もないので、放課後の過ごし方は日本と大きく異なります。
進級制度: 定期テストの成績次第で、毎年1~3%の生徒(児童も)が留年します。義務教育が17歳までという点も日本と異なります。
教員の役割と学級体制: 各学級に担任はいますが、「学年主任」や「副担任」といった役割の教員はいません。また、新年度の学級編成はありません。生徒は、午前と午後のどちらで登校するのかのみを選ぶことができます。
独特な机: 「プピートゥレ」 と呼ばれる、机と椅子が一体化した特殊な机がよく使われます(写真5)。
学校内の野良犬・野良猫:
校舎の中を野良犬や野良猫が自由に歩き回っているのは、日本ではあまり見られない光景だったのではないかと思います。(写真6)

写真5、6.png

会議が少ない: 進路指導や生徒指導に関する、教員の定期的な会議はほとんどありません。
予測不能な行事: 学校行事が突然開催されたり、直前で延期や中止になったりすることが珍しくありません。
独特な人間関係: 生徒同士、教員同士、そして生徒と教員の間でも、すれ違う時に握手やハグをすることがよくあります。学校内で生徒間の喧嘩やトラブルが滅多に起こらないことも印象的です。
職員室: 一応ありますが、教員ごとに決まった机はなく、それぞれの教員が好きな場所で仕事をします(写真7)。固定電話もないため、保護者や関係機関との連絡は教員個人の携帯電話で行われます。
おやつの配布と売店: 生徒一人ひとりに、お菓子や果物、牛乳などのおやつが毎日配られます。校内には軽食や文房具を扱う売店もあり、誰でも自由に利用できます(写真8)。

写真7、8.png

その他: 「朝の会」や「帰りの会」はありません。授業の開始時と終了時の号令(起立、礼、着席)もありません。同じ学校内で生徒の親が教員であるということがよくあります。

これらの違いは、コロンビアと日本の文化や考え方の違いが教育現場に色濃く反映されているからこそだと感じています。


4. まとめと今後の活動について

学校や教育を主題に、同僚たちとコミュニケーションを取る機会も多くあります。日本の学校について話すと、「コロンビアは日本から学ぶことがたくさんある」とよく言われます。
個人的には、日本もコロンビアの自由で温かい教育環境から学ぶことが多いと感じています。
これからも文化の違いを尊重しながら、日頃の活動を通じて、より多くの人々とコミュニケーションを図っていきたいと思っています。

コロンビアで活動を始めてから1年8か月が過ぎました。
私の場合は活動計画に沿って行う活動がまだ少し残っており、まとめの作業に取り組むのはもう少し先になりそうです。
次回は、9月以降に行っている活動の続きについてご紹介します。


過去の記事
 環境教育/コロンビア日記1(任地紹介)
 環境教育/コロンビア日記2(1年目の活動紹介)
 環境教育/コロンビア日記3(任地の人々との交流)
 環境教育/コロンビア日記4(2年目途中までの活動紹介)
 環境教育/コロンビア日記5(2年目途中までの活動紹介-2)
 環境教育/コロンビア日記6(2年目途中までの活動紹介-3)

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ