2025/12/03 Wed
活動 生活
環境教育/コロンビア日記9(2年間の心理的な適応度の振り返り)

こんにちは。
コロンビア共和国に環境教育の隊員として派遣中の、三井貴博です。
派遣開始から1年11か月目に入り、本帰国が見えてきました。
今回はこれまでの任期中における、自分自身の心理的な適応度の変化を振り返ります。
1. 経緯
コロンビアへの派遣が始まる前に、長野県駒ヶ根市で60日間の派遣前訓練がありました(現在は73日間です)。
その期間中は語学訓練のほか、健康管理や異文化理解等の講座も行われ、「海外滞在者が経験する心的適応のU曲線」について学習する機会がありました。
これは、新しい環境に身を置いた時、横軸を滞在期間、縦軸を心理的な適応度(幸福度や満足度)にしてグラフ化すると、U字の曲線になるというものです。
曲線は、以下の3つの段階を経て推移するとされています。
(1) ハネムーン期
新しい文化に触れて興奮や高揚感に満ちる時期。適応度は高い。
(2) カルチャーショック期
言葉や生活習慣、価値観の違い等の困難に直面し、ストレスが増大する時期。適応度は最低に落ち込む。
(3) 回復期・適応期
異文化への理解が深まり、問題への対処法を身に付け、気持ちが安定してくる時期。適応度は再び高まる。
本当にこのような段階を経て推移するのかを確かめてみようと思い、自分自身の心理的な適応度を派遣開始後から記録していくことにしました。
2. 結果と振り返り
横軸を経過した週、縦軸を心理的な適応度(最高を+5、最低を-5、どちらでもないを0)とし、毎週土曜日に、その週の記録を付けました(第1図)。
さらに、この記録から毎月の平均を計算し、1か月ごとの変化をまとめました(第2図)。
(1) 初期段階(約1~5か月目)
ハネムーン期は最初の1か月(正確には3週間)ほどで終わり、2か月目にはカルチャーショック期を示す最低値を記録しました(第2図)。
U字曲線の理論と一致する、初期の落ち込みだと思います。
しかし、そこからの回復は比較的早く、5か月目には適応度が+4まで上がり、U字の「谷」は乗り越えました(第2図)。
(2) 中間段階以降(6か月目以降)
順調な「回復期・適応期」というよりも、上がったり下がったりを繰り返しながら、全体としては徐々に適応していく形になりました(第2図)。
特に派遣から約1年(約50週)が経過するまでは、振れ幅が激しく推移しました(第1図)。
異文化での生活における困難やストレスが、回復期・適応期に入ってからも断続的かつ予測不能に発生しました。
しかし、カルチャーショック期の落ち込み以降で、1か月ごとの平均が再び0以下になることはなく、全体として+1~3程度で安定するようになりました(第2図)。
(3) ストレスへの対処の変化
回復期・適応期に入っても、ストレスや疲労で心理的な適応度が下がることは度々ありました。
しかし適応度の下がることがあっても、その落ち込みの程度は小さくなっていきました。
どんなことがあっても素直に受け入れることができるようになったり、その時その時に取れる最善の行動を取ろうとする知恵が身に付いてきたからではないかと思います。
また、自分の力でどうしようもなく変えることのできないことは良い意味で潔く諦めたり、変えることのできないものとうまくお付き合いしていく方法を考えたりする、柔軟な姿勢が身に付いてきたのではないかとも思います。
これらの変化により、ストレスに感じる原因自体が徐々に減っていったことで、適応度は変動しつつも、深刻に落ち込むことは無くなっていったのではないかと振り返っています。
3. 最後に
11月19日に、配属先で最終報告会を行いました(写真1)。
JICAコロンビア支所からも、お二人が配属先までお越しくださりました。
2年間のまとめや今後の課題を説明し、配属先やJICAと意見交換を行いました。
任期終了まであと少しです。

過去の記事
環境教育/コロンビア日記1(任地紹介)
環境教育/コロンビア日記2(1年目の活動紹介)
環境教育/コロンビア日記3(任地の人々との交流)
環境教育/コロンビア日記4(2年目途中までの活動紹介-1)
環境教育/コロンビア日記5(2年目途中までの活動紹介-2)
環境教育/コロンビア日記6(2年目途中までの活動紹介-3)
環境教育/コロンビア日記7(配属先の学校における教育環境)
環境教育/コロンビア日記8(2年目途中までの活動紹介-4)
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